君を探して
チョコの携帯が音を立てて、私のメール到着を知らせた。


滝田先生が
「こらー。皆本、携帯はマナーにしとけー」
なんて適当なことを言う。

メールを確認したチョコは、私の姿を確認すると、信じられないことにそのまま教室を飛び出してきた。

「深月っっ!!」

チョコは私をぎゅっと抱きしめて、

「大丈夫?辛くない?」

と震える声で言った。

「いっぱい泣いたんだねー、深月、辛かったねー」

かわいい顔をくしゃくしゃにして、チョコは泣いていた。

「うん……」

小さな肩を震わせて。

私の大事な親友は、人前にもかかわらず私のために泣いてくれた。


その騒ぎに、授業は当然中断。


私の腫れ上がった顔を見て事情を飲み込んだ滝田先生は、そのせいなのか、単に
自分が授業を続ける気をなくしたせいなのか、

「ヤレヤレ。あとは自習にするかー」

と言って、教室の隅に置いてあったパイプ椅子に座ってしまった。


先生は、優しく、笑っているように見えた。

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