君を探して
その日のお昼は、チョコと2人で食べた。

「こんな時は女同士じゃないとね!」

そう言って、とびきりかわいい笑顔で陽人とヤマタロを「邪魔!」と突き放した。

だけど、そう言われた陽人もヤマタロも(特に陽人!)ホッとした様子だった。


まぁ、そうだよね……。

『仲良し4人組』結成以来、誰かの失恋なんていう「事件」を迎えるのは初めてなんだもん。

陽人が「どんな顔して昼飯食えって言うんだ……」って本気で悩む様子が簡単に想像できる。


「深月の一大事だもん。陽人は一睡もしてないんじゃない? 昨日の電話でも、どうしようー、なんて声をかけたらいいんだーって、ずっとブツブツ言ってたし」

チョコは思い出し笑いをしながら、そう言った。

「確かに……。ヤマタロは女の子の扱いに慣れてるっぽいけど、陽人はねぇ……」


教室の少し離れたところで、陽人とヤマタロが他の友達と机を囲んでお弁当を食べていた。

陽人はどうしてもこちらが気になっているようで、腕組みをして眉間にしわを寄せ、絶対にこちらを見ないように頑張っている。

一方ヤマタロは、目が合うと、いつも通りの笑顔を見せてくれた。
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