君を探して
「ほら、早く乗って」

オレはそう言って、エリナを電車の中へ半ば強引に押し込んだ。

「え? 先輩? 私まだ……」

「ごめんね家まで送ってやれなくて。もう遅いから、気をつけて」

エリナはまだ何か言いたそうにしていたが、オレはそれを拒絶するように言った。

「それと……ごめんね-。やっぱり君とは気が合わない気がする」


そして、エリナの目を見て、もう一言。

「君が一番嫌いな深月のこと、オレは世界で一番好きなんだ」


それと同時に扉は閉まり、

驚きと怒りでカッと目を見開いたエリナを乗せた電車は、ホームから滑るように消えていった。

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