君を探して
「ああいう人、一番苦手!」

コイツは、オレが駄目なら次は陽人に行くんだろうか。

それはそれで面白いかも知れないな。


だって……

オレはチョコの怒り狂った姿を想像して、思わず吹き出してしまった。


オレの背後から電車の音が近づいてくる。

オレ達の他に誰もいないホームに電車の到着を告げるアナウンスが鳴り響いた。

「先輩……?」

オレが笑うとエリナもつられて笑った。

オレが笑っている理由なんて分かっていないくせに。

きっと、自分の都合のいいように考えているんだろうな。


電車はゆっくりと俺たちの前で止まり、中から酔っぱらったサラリーマンや遊び疲れた学生が次々と降りてきた。

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