君を探して
「そうかぁ……」

チョコはそんな私の話を黙って聞いてくれていた。

「じゃぁ、ヤマタロと付き合うとか、考えられない?」

「え?」

「付き合って、手をつないで、抱きしめてもらって、キスして、Hして……。そういうの、イヤ?」

私は大きく首を横に振った。
だってそんなの、考えられないよ……。

「そうかー」

しばしの沈黙。

そして、授業が終わるチャイムが鳴った。

チョコはお尻をパンパンと叩きながら立ち上がった。

「じれったいなぁ……。深月、鈍いからねぇ……」

「え?」

「ううん、気にしないで!……それならそれで、仕方ないか!」

そして、まだ座ったままの私を冷たい「上から目線」で見た。

「でも、ちゃんと考えてあげるんだよ、ヤマタロのこと。『分からない』っていうのと『考えない』っていうのは、違うんだから」

「うん……」

「そうしないと、ヤマタロだって次の恋に進めないし」


次の恋……?
ヤマタロの……?


チクン。

……と、私の胸が痛んだ。

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