君を探して
「どうするの? もうすぐ冬休みだよ。このまま年越す気?」

チョコがお弁当を食べながら言った。

1週間前、私が「これからお弁当を2人だけで食べていい?」って聞いたとき、チョコは「いいよ」って返事しただけで、多くを聞こうとはしなかった。

いつもなら「何があったのよ!」って怒ってくれるのに。

ここ1週間のチョコは穏やかだった。

でも、私は知ってる。
チョコは静かなときほど、怒っているってこと……。



そんなチョコが、1週間ぶりに、私を叱ってくれた。



「深月はズルいよ。自分の気持ちに、とっくに気づいてるくせに」

チョコの目から、涙がこぼれた。

「……チョコ?」

「深月がいつもヤマタロのこと考えてることなんて、お見通しなんだよ……」

涙を隠そうともせず、チョコはとても綺麗な大きな目で、私をじっと見つめた。

「怖いのは深月だけじゃないんだからね! 恋したら、誰だって怖いし、不安だし……。みんな、勇気出してそれを乗り越えて、幸せになるんだからね!」

「……」

「ここから先は、深月が覚悟決めなきゃ意味ないんだから! 私は何もしてあげれないんだから!」

「チョコ……」

「もーう。何も口出さないつもりだったのに……」

チョコ……

ごめんね、チョコ……

「そんなんじゃ、ヤマタロなんてすぐにどこかに行っちゃうんだからね! 分かってる!?」

うん、うん。

ありがとう、チョコ……


ゴメンねの涙なのか、
ありがとうの涙なのか、
分からないけど

気づけばチョコと一緒になって私も泣いていた。


なんだか私、どんどん泣き虫になっていくよ……。

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