桜唄
本当は、卒業式には最初からは出ないつもりだったんだけど、

ユリが受験に落ちて、アユミが、

「少しでもユリと一緒にいてあげよ?」なんて言うから

面倒くさいけど、最初から出る事にした。

校長の長ったらしい話を聞いたり、PTA会長の話を

聞いたり・・・・

ボーッとしてたら、卒業証書渡しの時間になっていた。

「3年D組大原由宇希。」

あっ。ヤベ。いつのまにかアタシの番になってる。

慌てて、返事をして声が裏返りそうになった。

「はい。」

ステージから降りようとしたら・・・・

皆泣いてた。

男子も女子も。

中には泣いてない人もいたけど、

同じギャル友達まで皆が泣いてた。

一気にもらい泣きしそうになった。

でも、ここでは頑張って涙をこらえて、

生徒退場・・・・

教室に帰って大泣きした。


もちろんユリも、そしてアユミまで。

ユリが泣く事は想像できたけど、まさかアユミが

泣くと思わなかったから本当にビックリした。

学年で一番目立って、カッコイイと女子がほっとかない

アキラまで泣いてた。

大泣きってほどでもなかったけど。

「ユウキちゃん!これアキラ君から。」

アキラから?何だろう。

小さなメモを開いてみた。

『卒業式終ったら、即駅前のカラオケに集合。ユリもアユミも呼んでいいから』

あの泣いてる中アキラは書いたのか、

メモは少しぬれている。

少し笑ってしまった。男子からは怖がられている、あのアキラが・・・




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