愛たい

ごめん。

何度も心の中で練習した。

だけど無意味だった。

あんな姿を見せられて謝れる訳がない。

『陸…』

聞きなれた声が近くで聞こえ思わず隠れながら覗いた。

案の定、そこには陸と結衣。

そんな俺に気づかずに二人は人気の無い道でお互いの体を引き寄せた。

「っ、」

まさかの展開に分かって居ても胸が痛む。

『…陸、元気だして?きっとすぐに仲直りできるよ』

その結衣の言葉に俺とのことを話しているんだと分かった。

その言葉に陸は頷き結衣に顔を近づけて唇を重ねた。

ドサッ、

と思わず落とした荷物を急いで拾い上げ、無我夢中でその場を去った。

必死で走って走って。

行く宛もないまま、

無我夢中に。

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