シーラカンスの唄


「シーラカンスが唄ってる…。」

今、ちゃんと翔と連絡が取れていれば、きっと自慢げに連絡をしたに違いない。
だけど、それも出来ない。


ちょっと前までしあわせってなんだか知らなかった。

しあわせって…
大切な人と笑って居られることだったんだ…


─…♪─♪♪


(…………え?)

その時、聞き覚えのある音が携帯から鳴った。
慌てて手に取ると、翔だった。

《シーラカンス、唄うんだな。》

たったそれだけ。

…と思った。
だけど。

空欄が続いて、一番下にもう一言。

《今、おまえの家の前。出て来れる?》


―…バタンッ!!

考えてる暇は無かった。
慌てて家を飛び出していた。


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