天神学園高等部の奇怪な面々Ⅶ

ここで一旦視点は移る。

体育祭が行われている校庭から少し離れた場所にある、校舎へと続く長い石段。

その石段に、奇妙な取り合わせの二人がいた。

一人は着流し、下駄履き、木刀片手の男子生徒。

その男子生徒にゴロニャンと寄り添うのは、簪で黒髪を纏めた女子生徒。

女子生徒は器量よしだが、体操服に足袋、下駄といささかチグハグな出で立ちだ。

藤原 宜虎、藤原 月姫の兄妹。

天神学園ではロシアエージェントと平凡男子、魔法使いと男の娘、龍太郎と小夜らと並んで有名なバカップル？である。

「ねぇ兄上兄上、ほら、ほら、体操服！萌えない？萌えない？」

周りをチョコマカとせわしなく動く月姫に、宜虎は少々困った顔。

とはいえ、彼も体育祭には真面目に参加する気はない。

（たまには月姫の相手をしてやるのも悪くねぇか…最近コイツトンチキな渾名で呼ばれて方々で噂されてるっていうしな…ええっと何だったか…『やんごとなき』？いや、違うな、『ヤンブラコン』だったか…解せねぇ…最近の日本語は粋じゃねぇやな…）

などと心中溜息を吐いていると。