天神学園高等部の奇怪な面々Ⅶ
「そんな事より酷い有り様ですわね、これは」

アモルの傍らにいたお嬢様が呟く。

「庶民の娯楽に少しお付き合いしようかと参加してみましたけれども…なぁに?貧民は一方的に虐げられるのがお好きですの?龍太郎さん」

「るせっ!好きでこんなワンサイドゲームしてんじゃねぇや!」

龍太郎が噛み付くように言う。

「…龍太郎…怒ったら駄目…」

今日はポニーテールにした遡雫が龍太郎の手を取り、柿ピーも狼らしからぬ声で、クゥン、と鳴く。

しかし。

「まぁまぁ、短気は損気どすえ、丹下はん」

近くの木の枝に腰掛けていた冬月が、上から龍太郎を見下ろす。

彼は体育祭でもいつもの着物に狐面だ。

「これから面白ぅなりますよってに…もう少しの辛抱どす」

「あぁん?」

見上げる龍太郎に。

「…僕らを虚仮にしたらどないなるか…分からせたりまひょ」

狐面の下の素顔が、薄く笑いかけたような気がした。

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