言葉にしなきゃ伝わらない。


朝食を置き去りにして、紅華の胸の中。



温かくて落ち着く...この居場所だけは変わってほしくない。




そっと頭を撫でられて高ぶった気持ちが抑えられていく



「だーい丈夫...大丈夫だから...ちゃんと喋れるようになる。伝えたい事も想っている事も・・・ちゃんと言える様になるから。私が責任もって美月を育てるって決めたから」





「ひ・・・っく・・ひっ・・・」





「泣かない、泣かない。タイミングが来たら、ぱっと話せるようになるかもしれないし・・ね?」




「・・っ・・・ひっ・・・...うん。」




「朝から泣いてたら、お友達が来た時ビックリされちゃうぞ?美月の大切なお友達でしょ。・・・絶対に大切にしなさいね」




「う・・ん...っ・・・」



涙も声も、思い通りにいかなくて、止めようと思っても喋ろうと思っても...上手くいかない。



―大切なお友達


こんな・・・私にも、心から安心できる存在が学校にいる。


小4から高3までの勉強...寝る間も惜しんで、毎日毎日...勉強した。



“勉強”なんて無縁で、普通にできることが嬉しくて・・・どんどん頭に入ってくるの。



高校生になれた時、今までに味わったことが無い嬉しさが湧きあがって来た。
< 101 / 144 >

この作品をシェア

pagetop