言葉にしなきゃ伝わらない。


この2人は知らない――私の過去。

言えなかった、言う・・・勇気も無かった。



「もう、どうした?今日は七夕ってのに暗い顔して~」


そっと夏乃が私の肩を抱き、ゆっくりと教室へと向かう足。


ゆっくり..ゆっくりと重い足取りで...。




教室へ向かうまでに、いろんな人に挨拶をされる。


高1の頃は、ありえなかった事。


でも今は違う、夏乃が助けてくれた「あの日」から私に言ってくる人もピタリといなくなった。



「おはよう」って言ってくれると「おはよう」って返す。

私が「おはよう」って言うと、「おはよう」って返してくれる。



これって・・・本当に幸せな事だと気付いた。




教室に入り自分の席へと向かう、それだけでも挨拶をしてくれる皆がいる。



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