言葉にしなきゃ伝わらない。


「お~~い、さっきからそこ!!うるさいぞ!!!せっかく転校生が来てくれてるっていうのに!!・・・立花!!、騒いでた罰として転校生の名前を読んでみろ!!」



ゆっくりと視線を前に向ける途中、先生から指名をくらってしまった。



「ちょっと先生~~美月ちゃん虐めるとかサイテー」

「美月はカーテンと戦ってただけなのにさ~」


私の様子を見ていてくれたと思われる女子の声。


「・・・あぁ、そうなのか!?すまん、すまん」


焦った様な先生の声。





皆・・・皆・・・スルっと頭から抜けていく...



躊躇いがちに前を見た。



・・・見てしまった。

・・・やめといた方が良かったかもしれない。



そんなの後から思ったことだけど。



目に映った現実。

映されてしまった・・・黒板。

見てしまった・・・・――人物。



長い間、時が止まった。


ピタリと、そして色もなくなった。


皆、灰色。




でも・・・

その人だけは色があった。


あと、私も。





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