電子恋
オタク。
昔、すごくはまったゲームがあった。
中学生から高校生の頃だったかな?
何年も前の話。

いわゆるRPGのゲーム。
発売会社が作った公式HPに掲示板があった。
その掲示板には攻略板と雑談板があって、アタシが常連ぶって入り浸っていたのは雑談板の方だった。

そこで仲良くなった数名のうちの一人がレンタルのチャットを借りてくれて、そっちに移動してよく会話をしていた。

親に叱られるので遅くまで会話できなかったけど、すごく楽しい時間だった。

ゲームのキャラで誰が好きかとか、あのキャラになりきったり、プレイ時間の自慢をしたり、ゲームだけではなく普段の雑談をしたり…。
周りにそんな会話をする友達がいなかったため、そこの空間はすごく居心地が良くそで出会った人はみんな信じていたし、大好きだった。

年が近い人が何人かいたので、その人たちと連絡先を交換し、学校行事や授業がどこまで進んでいるか、テストのことなどをメールしたりもしていた。

その中で、アタシのことを気にかけてくれている人がいた。

チャットを初めてまだ人数がそれほど集まらなかった時、公式ページでチャットのURLを書き込みをして何日か経過したときに新しく仲間になった人だった。

同い年の男の子で、ゲームも初めて間もなく、チャットも初心者だと言っていた。
『初心者歓迎!仲良くしましょう!みんな、新しい仲間ですよ!』
そう言って他のチャット仲間に連絡した覚えがある。

たぶん、そんな感じでその人はアタシに良く懐いていた。

ある日、他のチャット仲間からアタシにメールが来た。
『好きな人いるの?』
その当時好きな人なんて、ゲームの主人公だったから主人公が好きと返信した。
『ゲームじゃなくて、人間でだよ!』
質問の意図が分からなくてどういうことか聞くと、その気にかけてくれる子がアタシを好きだけど…と相談をされたらしい。

人に恋愛対象として見られたことなんてなかった。
すごく戸惑ってメールをしてきた子に分からないよと答えた。
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