三度目のキスをしたらサヨナラ
「いいんじゃない? 忘れなくて」

私も、ソウに倣って空を見上げる。

青く澄み切った空は眩しくて、綺麗で。
私は目を開けていられなくて目を細めた。

「昨日ウーさんが言ってたんだけどね、『恋はするものじゃなくて落ちるもの』なんだって。……だからきっと、恋が終わるときも同じなんだと思うよ」

ソウがこちらを向いた気がしたけれど、私はそのまま続けた。

「いつか、忘れたくなくても忘れるときが来るよ。いっぱい泣いていい想い出に変えることができたり、他の人を好きになったりして……。だから、それまでは」

「……それまでは?」

耳元で囁きかけられているような、ソウの声。
今度ははっきりとソウの視線を感じて、私は横を向いた。


──目の前のソウは、今まで見たなかで一番艶っぽかった。


軽く首をかしげてこちらを向いたソウの顔。

その口は、何か優しく囁きかけようとしているかのように半開きで。

目を細めて私を見つめる、長いまつげの奥の黒い瞳は、涼しげなのにどこか熱っぽく潤んでいて。


こんなとき、いつもならすぐにソウから目をそらすのに。

どうしてだろう。
今は、ソウから目が離せない。


私は呼吸するのを忘れて、ソウをじっと見つめた。

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