三度目のキスをしたらサヨナラ
ソウの車が完全に見えなくなるまで見送ると、私はじっと手の中の携帯を見つめた。
画面には、ソウが入力した電話番号。
ひとつボタンを押すと、メモリ登録するかどうかを尋ねるメッセージが表示された。
「登録」か「キャンセル」か……。
私はボタンを押す手を止めて、ふと笑った。
「ソウに電話なんて、かけることないよ」
今夜は彼女とデートだし、
明日は大学受験だし、
明後日にはいなくなっちゃうし……。
返り間際の、真面目な顔で私を見つめるソウの姿を思い出した。
「これで、いつ、何を話せって言うのよ」
一度瞬きをすると、ソウの心配げな表情は笑顔に変わった。
だけどその隣には、写真で見た彼女が寄り添って笑っていて。
次に浮かんだのは、ライターに刻まれた「KAI」の文字と、そのライターを持ってタバコを吸うソウの姿。
どこからか、『明後日にはあっちに帰る』っていう、私の知らない声が聞こえてくる。
──そして再び、いつものソウのとびきりの笑顔。
「何よ。……もうすぐ、いなくなっちゃうくせに」
何度目を閉じても、ソウの無邪気な笑顔が消えてくれることはなかった。
「……ずるいよ、ソウ」
少し考えた後、私は親指でボタンをひとつ押した。
そして次の表示を確認すると、そのまま携帯を折りたたみ、鞄へと滑り込ませた。
「早く、行かなくちゃ……」
私は、前を見つめて早足でバイト先へと歩き始めた。
画面には、ソウが入力した電話番号。
ひとつボタンを押すと、メモリ登録するかどうかを尋ねるメッセージが表示された。
「登録」か「キャンセル」か……。
私はボタンを押す手を止めて、ふと笑った。
「ソウに電話なんて、かけることないよ」
今夜は彼女とデートだし、
明日は大学受験だし、
明後日にはいなくなっちゃうし……。
返り間際の、真面目な顔で私を見つめるソウの姿を思い出した。
「これで、いつ、何を話せって言うのよ」
一度瞬きをすると、ソウの心配げな表情は笑顔に変わった。
だけどその隣には、写真で見た彼女が寄り添って笑っていて。
次に浮かんだのは、ライターに刻まれた「KAI」の文字と、そのライターを持ってタバコを吸うソウの姿。
どこからか、『明後日にはあっちに帰る』っていう、私の知らない声が聞こえてくる。
──そして再び、いつものソウのとびきりの笑顔。
「何よ。……もうすぐ、いなくなっちゃうくせに」
何度目を閉じても、ソウの無邪気な笑顔が消えてくれることはなかった。
「……ずるいよ、ソウ」
少し考えた後、私は親指でボタンをひとつ押した。
そして次の表示を確認すると、そのまま携帯を折りたたみ、鞄へと滑り込ませた。
「早く、行かなくちゃ……」
私は、前を見つめて早足でバイト先へと歩き始めた。