三度目のキスをしたらサヨナラ
ソウの瞳から、一滴の涙が零れ落ちた。

「ミナさん、辛かったんだね……」

ソウは、ゆっくりと私の方を向いて、大きな掌を私の頬に当てた。

「昨日は『もう一度奪い返せ』なんて言ったけど……」

ソウが言おうとする、その次の言葉は分かっていた。

「俺が引導を渡してあげる。こんなひどいことを言う俺のことを恨んでいい、憎んでいいから」

だけど私はそれを聞くのが怖くて、小さく首を横に振る。

「イヤ……」

それでも、ソウは止めなかった。



「ソータさんはもう戻ってこないよ。だから、もう、忘れるんだ」



そんな決定的な言葉を言われたのに、
その言葉は優しくて、温かくて。

まるで、力の入っていた私の肩をポンポンと叩いてくれたようで……。




車の屋根に打ち付ける甲高い雨の音と

低く唸るようなエンジンの音。

それと、定期的なリズムでフロントガラスの上を動くワイパーの音。

そんな音が響く暗い車の中、
私はソウの首にしがみついて、大きな声をあげて泣いた。


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