三度目のキスをしたらサヨナラ
ウーさんにそう告げると、私は急いでお店を飛び出して、車道に身を乗り出しながら空車のタクシーを探した。

だけどなかなかタクシーは止まってくれず、非情にも私の目の前を素通りしていくばかり。


それでも、私は、あきらめずに手を上げ続けた。


そして、車のライトの眩しさに目を細め、通り過ぎていく際に起こる冷たい風に髪を乱されながら、私はずっと考えていた。



私は、蒼太に守られて、与えてもらうばかりの恋愛しか出来なかった。

だけど、また同じことを繰り返すのは、絶対イヤだ。


好きな人の胸には、自分から飛び込んで行こう。

ソウならきっと、そんな私を受け止めてくれるから……



漁港で、防波堤の上から見下ろしたソウの姿を思い出す。

『怖くないよ、俺がちゃんと支えるから』
『ほらっ、勇気出して』

両手を広げて、絶対大丈夫って言ってくれたソウ──



今すぐソウに会いたい!



ようやく、1台のタクシーがゆっくり速度を落としながら目の前で止まった。

車が完全に停止しその後部ドアが開く、そのわずかな時間さえもどかしい。

ドアが開くと、私は急いで後部座席へ乗り込み、前へ身を乗り出しながら運転手へ告げた。


「東京駅へ、急いで下さい!」

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