牙龍 私を助けた不良 上
「あんま、参加したことねぇから分かんねぇけどな、」
木藤はそう言いながら私の頭に手を乗せて、崩れない程度にくしゃっと撫でる。
何だ、と思わず閉じた目を開けると、
「楽しめよ、凜華」
ふわりと、子供っぽい無邪気な笑顔を見せた。純粋な笑顔。
それを観て、胸がドクンッと大きく跳ねる。木藤に触れられてる所が、熱い。
そして、
『楽しめよ、凜華』
それが、言葉が、笑顔が。──何故か、酷く懐かしいアイツの姿に重なって見えた。
知らない何処かで、何かが軋んだような気がした。
* * * * *