牙龍 私を助けた不良 上
状況を正しく確認できない状態に、本能が警戒音を打ち鳴らす。
「桃華、一旦緋龍から離れろ、な?」
「やだっ」
顔を上げて、ひたすら名前を呼び続ける彼女──桃華に、驚きと戸惑いが胸中を占める。
それでも何とか動いて、桃華の下から抜け出すと、改めて彼女を見る。
「桃華、」
「ごめんなさいっ」
「──え?」
「全部、私のせいで・・・っ」
涙がポロポロと落ちて、服に染みが出来ていく。ひとつ、またひとつと。
「桃華、一体何──」
「ひなた君がっ、」
「・・・・っ!!」