牙龍 私を助けた不良 上



状況を正しく確認できない状態に、本能が警戒音を打ち鳴らす。



「桃華、一旦緋龍から離れろ、な?」


「やだっ」



顔を上げて、ひたすら名前を呼び続ける彼女──桃華に、驚きと戸惑いが胸中を占める。


それでも何とか動いて、桃華の下から抜け出すと、改めて彼女を見る。



「桃華、」


「ごめんなさいっ」


「──え?」


「全部、私のせいで・・・っ」



涙がポロポロと落ちて、服に染みが出来ていく。ひとつ、またひとつと。



「桃華、一体何──」


「ひなた君がっ、」


「・・・・っ!!」



< 436 / 476 >

この作品をシェア

pagetop