牙龍 私を助けた不良 上
ガチャンという音がして、視界が大きく揺れた。手の平に、床独特の冷たさを感じる。
呆然としながら、胸元にすがり付いている彼女を見てみれば、啜り泣いていた。
「お、おい、大丈じょ──」
「凜華ちゃんっ・・・」
細くて、小さい手が、これでもかというくらい服をくしゃりと握っている。
無意識に手を伸ばして撫でていたのは、私と同じ赤茶色の長髪。
鈍く音がしている頭を、何とか動かそうと必死になるが、身体が言うことを聞かない。
何処か遠くから、この景色を眺めているような、そんな感じがした。