牙龍 私を助けた不良 上
「体調悪ぃのか?」
「違う」
訳が分からないという顔をした勇人に答えることなく、屋上を出て保健室に向かう。
前に保健室に行った時、そこで凜華は寝ていた。気持ち良さそうに眠っていた。もしかしたら、今行ったらいるかも知れねぇ。
保健室に着く。扉を開けて部屋の中に入ると誰も居なかった。先生は外出中らしい。
そう思っていると。
『ミー』
「・・・・?」
鳴き声が聞こえて足元を見てみると、小さいネコ。足に引っ付いていた。しゃがんでみると腕に飛び乗ってきた。
野良かと思ったけど、首輪がしてありネームタグがついていた。誰かの飼いネコみたいだ。
ネームタグを見てみると、英語の筆記体で名前が彫ってある。