嘘カノ生活
「俊介くん…」
軽く肩を抱かれて。
振り向くと俊介くんがいた。
「ごめんねカズ。この子、俺の知り合いなんだわ」
「あ、おう…そっか」
知ってる人なのか、俊介くんは仲良さげに喋りだした。
俊介くん顔広そうだもんな、なんて思っていると。
「じゃ」という声がかすかにして、あたしの手を引いて歩き出した。
「あの、すいません。手…」
「え?ああ、ごめん」
あたしが繋いだ手の事を言うと、パッとそれを離した俊介くん。
気のせいかもしれないけれど、いつもと違うような声。