嘘カノ生活

「俊介くん…」
 
 
軽く肩を抱かれて。

振り向くと俊介くんがいた。
 
 
「ごめんねカズ。この子、俺の知り合いなんだわ」

「あ、おう…そっか」
 
 
 
知ってる人なのか、俊介くんは仲良さげに喋りだした。
 
俊介くん顔広そうだもんな、なんて思っていると。

「じゃ」という声がかすかにして、あたしの手を引いて歩き出した。 
 


 
「あの、すいません。手…」

「え?ああ、ごめん」 
 


あたしが繋いだ手の事を言うと、パッとそれを離した俊介くん。 
 
 
気のせいかもしれないけれど、いつもと違うような声。
< 117 / 321 >

この作品をシェア

pagetop