届かぬ出ぬ声。
麗子の心は段々崩れていった。
あの時からずっと徐々にだ。
心はもう壊れて崩れ去っていた。
誰も止めることの出来なかった崩壊。
それなのに、どうして誰かを裏切ってしまうの?
悪いのは自分なのに…。そう考えて居た。

人を裏切ることに快感を感じる麗子。
人間性をもう失っていた。しょうがない事であった。
「睦月~。愛してるぅ~・・。」
嘘だった。前までは本当だったのに。
睦月への愛情が冷めてしまっていた。
お酒を飲むようにもなっていた。
お酒をデロンデロンになるまで飲んで、
酔っぱらいに為って睦月に絡む毎日だった。
そんな麗子を睦月は優しく見守っていた。
絶対に元に戻すからと。
「麗子。もう酒を飲むな。お前は本当はまだ未成年なんだぞ。捕まるぞ。」
優しく強く威厳を持ちながら言った睦月。
そして無理矢理麗子のお酒を奪い取った。
「もう遅いから寝ろよ。」
そう言って麗子を布団に運んでいって頭を撫でて寝かしつけた。
「寝たくない…。目をつぶりたくない。」
麗子は少し孤独や暗闇に怯えるようになっていた。
多分、不安が一気に包み込むからだった。
最近はほとんど睦月の家に泊まりっぱなしだった。
すぐお酒を飲むから。
そんな麗子を睦月も、憐も、優雅も心配だった。
自分にはどうすることも出来ないのか…。
3人とも同じ事をずっと考えていた。
麗子は裏腹にもっと傷ついちゃえ。
私をぼろぼろにしてよ…。
と願っていた。
すれ違うのはいつものことだった。
なのに、こんなに胸が居たのはなぜ?
裏切ることに罪悪感を感じるのはなぜ?
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