猫かぶりな男とクールな女

遥と夏帆の過去





―4年前―




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「細田専務、今お時間よろしいですか?」




「ん、あぁ…木本さんお疲れ様」


ウェディングプランナーという仕事に勤めて6年目。
アルバイトもした事がなかった遥にとって、婚礼の仕事は激務ではあったが、気さくな人柄と持ち前の責任感が認められ、若くしてチーフという役職を任せられるまでになっていた。



引き継ぎやら新しい職務やらで、気持ちが追いつかない状態の遥だったが……新しい名刺が出来上がった事もあり、この日は早々に提携店へ挨拶回りに出向いた。



―手慣らしに、一番付き合いが長い衣裳店からまわろ…



まずは、付き合いが長く、スタッフとも仲が良い衣裳店から挨拶しに行く事にした。




『Brilliant White』




真っ白なキャンバスにシルバーの文字が浮かび上がるように描かれている。

一件、絵画か何かのアトリエを思わせる看板だが、視線を落とし、ショーウインドーを覗けば、そこにはまばゆいばかりに輝きを放つ真っ白なウェディングドレスが飾られている。


ビーズやスパンコールで刺繍されたゴージャスなものから…
童話に出てくるプリンセスをイメージしたフワフワなスカートのものまで…



着ているのはドールとはいえ、女性なら誰もが目を奪われるようなディスプレイになっている。




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