猫かぶりな男とクールな女
第二章
遥の大人な話
浮かれたカップルやはしゃぐ子供の声が響くショッピングモールの前で、蒼介は一人腕を組壁に寄り掛かっていた。
先程から腕時計と道行く人を見比べては、まだかまだかと足踏みをしている。
「おーい!
蒼介君!遅くなってゴメンー!!」
聞き覚えのある声にホッとして思わずほころんだ顔を向けると…
「蒼介君……………………」
「遥さん………なんすか?」
「…………可愛い。」
「は?」
「待たせた私をそんな笑顔で出迎えてくれるなんて…………惚れちゃう……」
「…やっぱ帰ります」
「え!?嘘!!
何でよ?
自分から連絡しておいて!!!!」
遥の金切り声が疲れきった蒼介の頭に響き渡った。
―俺……
何でこの人に連絡しちゃったんだろ…………