ギョルイ

 吹き込む風に逆らって地上に出た。ぐずり出しそうな曇り空。太陽の光はない。寂れた通りを歩く、歩く。
汚い街の底から見上げる空は電線に区切られて狭苦しい。酸素を求めて飛び上がることもできず地面に縛られる金魚――いつの間に詩人になったのだろう。呆れた感傷。濁った金魚の目玉はまだわたしを解放する気はないのか、違う、勝手に縛られているのはわたしだ。


< 25 / 36 >

この作品をシェア

pagetop