本の中の王子様



 彼とは廊下ですれ違っても
 
 話すどころか、

 目さえあわさない。




 彼と話したことはまだ、ない。




 もし私があの本とであってなかったら。


 
 もし彼があの本と出逢ってなかったら。



 
 一生話すことも
 目もあわすことも

 ましては手紙を交換するなんてことは
 絶対にないだろう。




 この本があってよかった。











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