本の中の王子様








 ぎぃ、となる古い扉。




 図書室に入るのがなつかしくて、

 あんなに前のことなのに

 彼を思い出して


 泣きそうになった。




 彼があの、いつもの席に座って


 あの本を読んでいる姿を

 何度夢に見たことだろう。




 彼と話したかった、


 せめて、彼に[わたし]を
 知ってほしかった。





 なんであんな小さな勇気しか

 出せなかったんだろう。




 なんで…。






< 19 / 23 >

この作品をシェア

pagetop