Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
少し休憩しようとベッドに腰掛けると、音葉の煩い声が病室に響き渡った。



「京ってばボケてんの!?携帯洗面所に置きっぱなしだよ!?」

『うっせぇよ!!』



音葉が握っている携帯を乱暴に取り上げると、音葉は更に愚痴愚痴言い出した。


うっせぇな……。


ストラップが手をかすり目を向けると、まりあにもらったイルカがゆらゆら揺れていた。


ずっと付けてるからかすれて汚くなっている。


退院が決まってまりあに連絡した。


連絡したと言っても、情けねぇことに電話する勇気はなくてメールを送っただけだ。


でも、まりあから返事は帰ってこなかった。



「聞いてる!?」

『聞いてねぇよ』



音葉が口を開きかけたとき、病室のドアが開き織原院長が入ってきた。


その後ろには見たことのない医者が立っていた。





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