雪解けの頃に
「ゆ……いちぃ……」

 理花は写真と手紙を胸に抱きしめる。 

「ううっ、ゆぅ……い、ち……!!」

 ベッドに突っ伏し、声を張り上げて理花は泣いた。

「雄一……、ゆ……、いちぃ」

 
 これまでの過ごしてきた様々な二人での思い出が、理花の脳裏を駆け巡る。

 7年もの間、本当にいろいろな事があった――――楽しいことも、つらいことも、思い出せないくらいにたくさん。
 
 でも、どの思い出にも必ず雄一の愛情が感じられた。

 だからこそ、7年も付き合ってこられたのだ。

「あうぅ……、ゆうい……ち」 

 泣いて、泣いて、体中の水分が全部涙として流れ出てしまうんじゃないかってくらい泣いて……。
 


 どのくらい泣いたのだろう。


 そして理花は決めた。
 
 明日、新潟に行こう―――3日間休みだし。

 雄一に会いに行こう。

 雄一が残してくれたスノードロップを見に行こう。
 
 もう、咲いているはずだわ。

 ……うん、そうしよう。
< 39 / 43 >

この作品をシェア

pagetop