雪解けの頃に
4章 希望
 そこには一枚目の便箋と同様に、少し震える字で

『スノードロップ
 花言葉は<希望>

 後ろを振り返らず、過ぎた時間を悔やまず、前だけを見て。

 僕との思い出に縛られないで。そんな事は少しも僕は望んでいないのだから。


 手紙を読み終えて、きっとショックを受けるだろうね。

 本当のこと、ずっと言わなくてごめん。

 でも、僕なりに理花のことを思ってのことだったんだ。


 今はつらいだろうけど、時間が経てばきっと大丈夫。

 そして気持ちが落ち着いたら、ゆっくりでもいいから前に進んで。


 笑顔の理花が大好きだよ。』

 と、書いてあった。


「雄一……」
 
 涙が止まらない。

 口元を手で押さえているが、こみ上げる嗚咽が漏れ聞こえる。


「私の……こと、ばか……り、心配して。

 なのに……、こっちにはちっとも心配させないようにして……。
 
 どこまでお人よし……なのよぉ」
 
 ひっく、ひっくと、しゃくりあげる理花。
 

 こんなに泣いたのはどれぐらいぶりだろう。
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