雪解けの頃に

2】母の嘆き

「だって、25歳も過ぎれば落ち着いてくれるかと思っていたのに。

 あなたったらますます活発になってゆくんですもの。

 グチくらい言っても良いじゃない」
 
 理花の母は頬に手を当ててため息をつく。


「まったく、誰に似たのかしら?」

 手を腰にやり、横に立つ娘を見上げる。

 

 娘の身長は中学入学と同時に母親を抜き、今では頭一つ近く大きい。

 外見は―――口さえ開かなければ―――おしとやかなお嬢さんで通ると言うのに。


 学生時代、中学高校を通してバスケットに明け暮れたためか、正確はサバサバとしている。


 いや、サバサバどころではなく“男勝り”と言うほうが正しいのかもしれない。

 

 見た目だけは上品な理花が口を開く。

「お母さんに似たんじゃない?」

 少しも悪びれた様子を見せず、しれっと応える理花。


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