吸血男子
「海斗~大丈夫ぅ?」

「…あ?」




 いかにも不機嫌な顔でまた近寄ってきた取り巻きをにらんだ。



「こんな女なんてやめてうちらと遊ぼうよぉ」

「…意味わかんねぇ」

「貧血でしょぅ? すぐ良くなるよねぇ」

「…帰る」




 壁を持ちながら立った海斗君は私を霧君から引き離して歩きだした。





「そんなに速く歩いて大丈夫?」

「平気だから今日は看病して?」

「…いいけど…珍しいね」

「気分的に」





 私は保健室に海斗君を少し預けてその間に鞄を取りに行った。





「かえろっか」

「あぁ」

「歩いて帰る?」

「空は暑そうじゃね?」

「まぁ…」





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