空色クローバー
「……椿さんは、絶対来てくれると思ってました。」

それは勘だ。
この世に絶対は無い。

「来なかったらどうするつもりだった。」

凍えて死ぬつもりだったのか。

「でも…来てくれましたよ。」

そう言って笑う北野の唇は震えていた。

「…っ」

「わ…!」

俺は北野を抱きしめた。
北野の体は、とても冷えていて…寒さに震えていた。

「馬鹿か。こんなに冷たくなるまで俺を待つなんて…。」

「椿さ、ん…。」

震える声を聞いて抱きしめる力が強くなる。

馬鹿は俺か。
今だに謝罪は後回しだ。

「…悪かった。」

謝罪の言葉がやっと出た。

俺はしばらく抱きしめていた。
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