空色クローバー
そこには、金色のラブラドールレトリバーに押し倒されている陸先輩がいた。

犬がすぐに反応して、こちらを向いたので、陸先輩も私達に気づいた。

「あ…聞こえた?」

「「はい…」」

先輩はバレちゃったね、と笑った。

「これが本当の俺。
…家だと『王子様』じゃないから、抜けちゃうんだよ。」

マックスを撫でながら先輩は言った。

「…『王子様』って呼ばれていたの、知っていたんですね。」

「なんなとく聞いていた。
男子は俺のこと、よくそう言ってからかうし。
やっぱりそう言われるよな、うん。」

陸先輩の言い方は、水月の言葉で99%から100%に変わったような感じだった。

「このキャラ、結構皆に気に入られてるから…今更辞めたら何か悪いだろう?」

優しい陸先輩らしい理由だった。
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