いかにも、もう大丈夫でしょと言う顔で私に言う。
「きっとこれが最後じゃないかな。13回忌のあとは、ほとんど身内だけでする事が多いから…あんたも結婚して子供も産んだんだから、その報告かねて行ったらいいんじゃない?」
母の言いたい事は嫌というくらいわかっていた。もう大丈夫でしょう…もうヒロくんの顔見ても大丈夫でしょう…もう、ふっきってるんでしょう。私が今ここで行くのが嫌だと言えば母は心配する…
「そうね。行ってこようかな。連れて行くと迷惑だろうから涼は、預かってね。」
私がそう言うと母は安心して笑った。
でもね、お母さん。私ホントは絋に会わせる顔ないの。絋の両親には、もっとない…
母は私が見えない罪の十字架を背負っている事を知らない。母だけじゃない。誰も知らないんだ。きっと知っているのは、私と絋と桜の木くらいだ。
私はどんな顔して行けばいい?昔の恋人として?それとも、大事な息子さんを殺した犯罪者として…?
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