おっぱいを飲ませながら、バッグに片手をのばす。軽く深呼吸をした。青い封筒は、しっかりとのりづけしてあり10年以上もの間、絋の部屋で眠っていた。ごめんね。私宛ての手紙…なぜ絋が渡せなかったのか。12歳のホワイトデー。たしかにまだ絋は生きていた。
ゆっくりと中の物をとりだす。でてきたのは紫と青の刺繍糸で作ってあるミサンガと1枚のメモ…そこには一言「コレで機嫌なおせ」と書いてあった。
あの日から今まで何度願っただろう。あの日に時間を戻して下さいと…
だってね絋、あの頃のあたし達はケンカしても明日仲直りすればいいって思ってたじゃない。明日できなかったら明後日すればって。でも、あたし達に明日はなかった…
ホワイトデーから10日後、卒業式の日、絋は死んだ。
私が殺したんだ…
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