いつかはお兄ちゃんと、バージンロードを歩きたくて・・・
「ううっ・・・」


「雄志・・・」


「奈緒子・・・ごめん・・・」


「ううん、いいよ・・・」


「ホンマ・・・ごめん・・・」


奈緒子は何も言わずに俺を抱きしめてくれていた。



辛くても誰にも頼れなかった、
誰にも甘えられなかった。


何を聞いてほしいわけでもない、
ただこうやって抱きしめてほしかった、
やさしく抱きしめてほしかったんだ・・・


奈緒子のぬくもりは雄志の固く閉ざした心を
やさしく溶かして行った。


楓花でも、他の誰でもできない、
奈緒子にしかできないことだった。





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