一人睨めっこ

五節 狂人

『死ね死ね死ね死ね!!』

 彼女は狂い続ける。

 頭の中に居る、もう一人の自分。
 その存在がこんなにも人を狂わせるのか?
 つか、狂ってない俺って何?
 鈍感? ……まあ高村麗香は女の子だもんな!
 デリケートだもんな!


『死ね死ね死ねっ――』

 俺が呑気な事を考えている時だった。
 彼女はピタリと叫ぶのを止め、静かに俯いた。

『麗……香……?』

 林田が、彼女の顔を覗き込んだ。


 彼女は――笑っていた。

『っはははは!! あははは!!』

 突然笑い出した彼女に、思わず林田は後ろへ退いた。

『死ねっ……簡単じゃん……ははっ!!』

 そう言って彼女は立ち上がった。
 彼女の言葉に、俺は八ッとした。

 まさか、まさか――

『死んじゃえばいいんだー!』

 彼女は笑いながら、部屋の窓を開け――


『麗香!!!!』


 ――窓の外へ身を投げ出し、飛び降りた。
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