一人睨めっこ

六節 時間

『は!!?』

 俺の言葉に、淳が声をあげた。

「日没が近いんだよ」

『あ……』

 淳も理解したようだ。

「何なら、俺だけでも出るから」

 答えは、決まっていた。
 どうしても、これしかないから。

「逃げるみたいで嫌なら……俺だけでも行くから」

 俺は泣き続ける林田から離れ、部屋の出口へ歩んだ。

『――何か真琴、変わったなっ』

 淳が言った。

「変わった?」

 俺は部屋のドアを開けた。

『ああ。何か、強くなった』

「何だそれっ」

 俺は少し笑って家を出た。

『――待て!! 俺も行く!!』

 淳が言った。

『えっ、あ! 私も!!』

 真奈美が言った。

『俺達も――と言いたいところだけど、こいつをほっとけないな』

 優兄は林田を指差して言った。

『僕達はここに残って、何とか話つけておくよ』

 駿兄がにこっと笑って言った。

「でも――」

『大丈夫っ!! 僕、嘘得意だから!』

 ……何だそりゃ。

「じゃあ、行ってくる」

『頑張れ〜!』

『体乗っ取られんなよ』

『いってらっしゃい』



「……おう」
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