一人睨めっこ

七節 二度

 そんなの嫌だ……!




 ――――ん?
 もう一人の俺は、ずっとそんな気持ちだったのか?
 今まで、ずっと……。
 一人で……孤独で……。
 自分の思うように体や目が動かせなくて、声も出せなくて。
 でも植物人間等とは違って意識ははっきりとあるし、心もある。
 そんな状態で、俺が平凡に生きてる十四年間ずっと――。

 そもそも何で、俺の中に二つの人間――魂? ――があるんだ?
 高村麗香の時もだけど。

『――? 何してるんだ?』

「いや、何も――」

 分からない。
 謎が多すぎる。
 手掛かりが無さすぎる。
 こんな謎、かの有名なシャーロック・ホームズでさえ解けないだろう。

 いや、解く方法はある。
 もう一人の俺に聞く事だ。

 でもそんな事……。

「あっ!!!!」

 ――そうか!?
 簡単じゃないか。
 今すぐ話したいんだろ?
 それなら――

「一人睨めっこをもう一度やればいいんだ……」
 
 あまりにも危険であり、無謀な策だった。
 でも、今の俺に選択肢は残されていないから。
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