一人睨めっこ
『今まで一つの魂として生きてきたのが、二つに分裂してしまったら――』

「しまったら……?」

『それぞれの魂の力は強くない、いや弱い。このままじゃ――』

 俺は

 お前は

 どうなる?


『――消えてしまう』



「――――は?」


 消え、る?

『魂が消える、魂を無くした体も消える』

 俺は無意識に、自分の体を触った。

 この体が
 当たり前のように
 ここに存在している体が

 無くなる?

『な? 嫌だろ、魂も体も無くなるなんて』

「あ、ああ……」

 俺は動揺しながらも小さく頷いた。

『それならさー、俺に体あげた方がマシだと思わないか?』

 結局その話になる訳か。

『俺がお前の魂を完全に吸い取ってしまえば、俺はこの体で生きていける……』

 そう言ったもう一人の俺は、真剣な目をしていた。

「でも……俺は」

 生きたいんだ。

 皆と、一緒に。

『だから代わりに俺が生きてやるよって言ってんの!!』

 代わりって……。



『ちょっとあんた』

「真……奈美?」
 
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