一人睨めっこ
(いいかお前)

「え?」

(確かにお前は平凡だし地味で暗い情けない奴だ)

 う……容赦無い。
 そして全部本当の事。

(だが俺は、成績だってトップで運動神経抜群で明るくて人当たりが良いし先生ウケも良い)

 こいつ……超ナルシスト!?

(今俺の事ナルシストだと思ったろ)

「えっ!! なんで分かっ――」

 心が読めるのか!?

(人の表情を読み取るのが得意なんだ)

 すご……。

「へ、へぇー」

(便利だろ♪)

「まぁ、な」


(あ! そうだっ!!)

 もう一人の俺が大声で言った。
 キーン……

 頭の中に響いた。

「なんだよ」

 俺は思わず耳を塞いだ。
 頭の中から聞こえるのだから意味も無いが。

(次の授業、小テストだ)

 小テスト……?
 テスト……
 テス……
 ス……
 …………小テス!!?

「ああぁっ!!!」

 数学の小テストじゃねぇか!
 80点以下で放課後再テストの!
 俺は休み時間に勉強して80点いくかいかないかなのに!

 全く勉強してない……。
 人生終わった……。

(なーに人生終わったって顔してんだよっ)

 表情読めてるね、うん……。

(俺がなんとかしてやるよ!)
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