一人睨めっこ

八節 英雄

「俺だって、頑張って勉強してきたんだ……」

 もう一人の俺は悲しそうに言った。

「その頑張りすら認めてくれないのか?」

『……っ!!?』



『……藤崎君可哀想じゃない?』

 クラスの女子がぽつりと言った。

『だよね……』

 その女子の近くに居た女子も言った。

『つかさぁ、林田も疑いすぎだろ!』

 男子も声を出した。

『そうだ、性格悪いぞ林田〜』

 もう一人の男子も言った。

『――はっ!?』

 林田は少し困惑気味だ。
 教室が騒めきだした。

『はーい、ストップストップ』

 ここでやっともっちゃんが止めに入った。

『林田、藤崎も頑張ったんだから認めてやれ』

 もっちゃんは林田に言った。

(林田が完璧悪者っぽくなってる……)

「どうだ相棒!!」

 もう一人の俺が、俺にだけ聞こえるような声で言った。

(って俺はお前の相棒じゃない!!)

「つれないなあ」

(早く、体返せよ!!!)

『真琴、どうした?』

 淳が声をかけてきた。

「なんでもねぇよっ!」

 俺の言った事は無視されてしまった。
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