一人睨めっこ
「寝かさないの?」

『そうしたい所なんだが、こいつが離れないんだよっ』

 駿兄……眠っているのに離れないとは。
 それ程優兄を愛し――おっと、NGワードだった。

『離れろこの野郎!!』

 優兄が半ばキレ気味に言い、駿兄の腕を無理矢理引っ張った。

 うわあ……。
 何か、どっちもどっちだと思うのは俺だけだろうか。

『ちょっ、お……わっ!!』

 駿兄の腕は優兄から完全に離れなかった。
 それによって、駿兄がベッドに倒れると同時に優兄も倒れた。

『俺を道連れにするな――ったく』

 優兄は駿兄の方を見て言った。


「あのぉ……」

 優兄、今の状況分かってる?
 傍から見ると、“一緒のベッドで抱き合っている男二人”ですよ?
 怪しいですよ?

『離れろよこの……ぁっ……もうしがみ付くなって……』

 優兄が駿兄から離れようと格闘している。

「後はお二人でごゆっくり――」

 うん、居ちゃいけないよな。
 二人の世界に――――

『誤解だっつーの!!』

 遂に優兄は駿兄の頭を肘で殴った。
 ゴン、と言ういかにも痛そうな鈍い音がした。

『………んにぁ?』

 駿兄が目を覚ました。
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