一人睨めっこ
『痛ぇーっ!!!!』

 額を抑えて叫ぶ淳。

『あら、居たの?』

 それに対して葛西は、悪びれる様子もなく言った。

 痛かっただろうな……。
 微かにゴンッて聞こえたし。





『じゃあ話しましょうか』

 駿兄は今にも眠りに堕ちそう。
 淳はまだ額を抑えている。
 優様は何故かそんな駿兄をずっと見つめている。
 こんな状態で何を話すというのか。

『さっきのあれ――偽崎が出てきた時』

「偽崎って何だよ」

 そんな名字初めて聞いた。

『簡単よ。偽物の藤崎だから偽崎』

「変に略すなよ……」

『で、その時気付いたんだけど』

 あ、スルーですか。

『まず一つは、私の作ったペンダントでは完全に偽崎を制御出来ない』

 偽崎って定着しちゃったな。

「まあ、それは分かる」

『そしてその制御出来ない時が、月が出ているときよ』

 葛西はビシッと人差し指を立てて言った。

「月――?」
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