一人睨めっこ

五節 願望

 はっ……。

「あれ?」

 視界には、天井。
 横を見ると、空っぽのベッド。

 ……って淳の部屋じゃねぇか。


 ――俺を一人に――

 夢がそこで途切れてしまった。
 何を言うつもりだったんだろうか。

 俺を一人に――
 俺を一人に――らめっこ?
 ……じゃねぇよな。

 俺を一人に……ゅーよーく?
 俺を一人に……ほんに置いて?

 って何の話だよ!!


「……なんか虚しいな」

 一人でつっこんで。

 って、あれ?
 一人?
 ……淳は?

 辺りをきょろきょろと見回すと、テーブルの上に紙が置いてあるのに気付いた。
 俺はその紙を見た。

「えっと――遅ぇぞ早く起きてこい――淳」

 ――って、今何時?
 俺は部屋の壁に掛けてある時計に目をやった。


 ――――午後二時。

 ん?
んん?

 昨日十一時頃に寝て、四時くらいに目覚まして――また六時くらいに寝て――つまり。

「合計……十三時間寝た」

 うわあ、俺寝すぎ。

 自分に呆れながらも俺はリビングへ向かった。
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