一人睨めっこ
「うわあっっっ!!!!」
『きゃあっっっ!!!!』

 女の子を見た瞬間、俺と真奈美は同時に叫んだ。

『叫ばないでよ、うるさいなぁ』

 女の子は、幼い見た目とかけ離れた冷静さで言った。

 いやいやいや!!
 普通、何も無い所から急に女の子が現れたら叫ぶでしょ!

 しかも今の――
 横から突然視界に入ってきた、とかでは無く、本当に突然現れた。

 薄紫色のおかっぱをして、セーラー服に半ズボン。
 見たところ……小学三、四年生。

『僕、宮下知依。宜しく』

 ……女の子なのに“僕”って言うんだ。
 なんて思いながら……ん?

「宮下?」

『うん』

 目の前の女の子は、宮下知依。
 この俺の親友も……宮下淳。
 ついでにその兄は、宮下駿。

 宮下、宮下、宮下。
 トリプル宮下。
 って事は――――。

「まさか……兄妹?」

『真琴、正解っ!!』

 淳がそう言ってショボい拍手をした。

『真琴君は優より気付くのが早かったね〜』

『う、うるさいっ!!』

 優兄と駿兄が話している。

 真奈美は…………
 床にへたばっていた。

「ま、真奈美?」

『ビックリして腰抜けた……』
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